マルタの北に位置する「サイレントシティ」、イムディーナは古代から中世までマルタの首都とされていました。約0.90㎡の小さな街は現在でも城壁に囲まれており、古都としての特別な雰囲気を纏っています。街へ足を踏み入れると、中世とバロック様式の時代に建てられた建築が混じり合い、その深い歴史からユネスコ世界遺産に認定されています。現在ではイムディーナの街は世界中からやってくる観光客に人気のスポットとなっています。
街を周辺から隔てている城壁にある観光客を迎え入れるイムディーナゲート。イムディーナの街には合計3つのゲートがあり、上の写真はメインゲート。聖ヨハネのグランドマスターであるManoel de Vilhenaの命令でCharles Francois de Mondionにより設計されました。このゲートの目的は、彼が戦いで得た偉大な勝利を示す紋章を、街に入ってくる人々に見せるため。
とても美しいこのゲートですが、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を見てから行くと、感動は何倍にも膨れ上がります。というのも、ここはドラマの中の「King's Landing Gate」のシーンの撮影が行われた場所だから。
イムディーナゲートを過ぎると最初に目に入ってくるのが18世紀にできたパリジャン・バロックスタイルの広場、Palazzo Vilhenaにある自然史博物館。1973年に完成したこの博物館は、自然史に関する展示があり、マルタの地理や古生物学、哺乳類、海洋類、人類の進化などに触れることができます。博物館は毎日09:00から17:00まで開館しており、チケットは2.50€から5€。
街を囲む壁の周りに沿ってぐるりと散策してみるのもイムディーナの醍醐味の一つ。歴史の詰まった狭い路地を進んでいくと、広場や教会、レストラン、カフェ、地元の人々の暮らす家などが見えてきます。小さな街ですが、約300人がここで暮らしており、そのほとんどがノルマン、シチリア、スペイン出身の貴族なのだとか。
そのため治安も安定していて、道に迷っても安心です。観光客に人気のスポットでありながらも、落ち着いたゆったりとした雰囲気が特徴的です。全ての狭い路地が、また他の道に繋がって、道を曲がる旅に赤、緑、青の美しいドアノブや新しい風景に出会うことができます。そのまま進んでいくと、美しい絶景が広がるBastion広場にたどり着きます。
その周りを少し散策してみると、上の写真のような緑のドアが見えてきます。ここがPjazza Mesquita。ここもドラマ「ゲームオブスローンズ」の撮影スポットです。この広場には赤いドアが目印の「Don Mesquita」というレストランがあり、ここではゆったりとしたアフタヌーンティーや、食事を楽しむことができます。
St. Paul's Cathedral、またはThe Metropolitan Cathedral of Maltaと呼ばれるこのカテドラルは、中世に建てられたノルマン風の教会を彷彿としますが、もともとの建物は1693年に地震で崩壊してしまいました。現在の建物はLorenzo Gafàによって再建され、1703年に完成したもの。この大聖堂はマルタの大本堂であり、聖パウロのために建てられました。ちなみに聖パウロは西暦60年にローマで行った突風に会って14日間漂流し、メリ二島に到着しますが、そのメリ二島が現在のマルタです。
大聖堂に入ると、まず祭壇が身の前に見えてきます。すべての絵画にそれぞれのストーリーが表現されています。例えば祭壇の後ろにある絵には、パウロがダマスカスへの道で改宗する場面を描いた作品で、マルタ最高の芸術家の一人、Mattia Pretiによって描かれました。
大聖堂の天井にも聖パウロの生涯が込められたフレスコが見えます。こちらもMattia Pretiが描いたドームを取り囲む絵画が実に美しく見惚れてしまいます。
イムディーナには7つの博物館と3つの文化体験空間（The Mdina Experience、The Knights of Malta、and Malta Fun Trains）があり、マルタをより特別で充実した時間にしてくれます。お土産を買うならイムディーナグラスがおすすめ。
著者 Yuka Ishihara
撮影 Aphinya Kasemsukphaisan
アクセス: バス50, 51, 52, 53, 56, 109, 181, 182, 186, 201, 202, N50番線 Mdina停留所