フランスにおいてもっとも人気のあるヴェルサイユ宮殿に次ぐ訪問者数を誇るシュノンソー城。ロワール渓谷を訪れる際には欠かすことのできないルネサンス期の傑作です。シェール川をまたぐように建てられたこの橋のようなお城は、独特の建築様式においてのみならず、歴史背景の豊かさにおいても素晴らしい価値を持っています。
CHATEAU DE CHENONCEAU
営業時間 : 毎日営業
営業時間は季節によって変わるため(開館は9時~9時30分、閉館は17時~19時30分)、こちらからご確認ください。
入場料 : 大人14ユーロ / 7-18歳の子供および18-27歳の学生11ユーロ / 7歳未満無料
アクセス :
パリから214㎞、トゥールから34㎞のところに位置しています。
車であればパリから約2時間(高速道路A10"Aquitaine", BloisまたはAmboise出口)。
電車であればParis-Montparnasse駅もしくはAéroport Roissy-CDG駅からTGVで1時間程度、トゥールのSaint Pierre des Corps駅にて下車し、TERに乗り換えてGare de Chenonceauxまで25分程度、その後徒歩400mです。
記事最後には旅をちょっと楽しくするTipsも記載していますので、どうぞチェックしてくださいね。
シュノンソー城の歴史は16世紀に遡り、1514~1522年頃にかけて貴族の邸宅として建設されたのが始まりです。当初の邸宅は現在のお城から600mほど離れたところにありましたが、火事で焼失してしまいました。
しばしば王の妻や妾がその主であったことから、シュノンソー城は「Château des Dames(貴婦人たちの城)」という別称を持っています。アンリ2世は愛妾であったディアーヌ・ド・ポワチエへこの城を贈っており、彼女が城のデザインに大きく影響を与えたそうです。
また、第一次世界大戦中には軍の病院として使われ、多くの兵士たちがここで治療を受けました。
お城の入り口へと向かう道。だんだんと美しいお城の姿が見えてくる様子は、プレゼントのラッピングを少しずつほどいていくようなわくわくした気持ちを思い起こさせます。
お城の特徴のひとつに、ゴシック様式とルネサンス様式(Philibert de l'OrmeやJean Bullantによる建築)が混ざり合った建築が挙げられます。
ギャラリーと礼拝堂の壁は、トゥファと呼ばれるロワール地方特有の石灰岩の一種で作られています。お城の周辺で採掘されるこの石はまた、外壁にも使用されています。
各部屋にて芸術作品や調度品の素晴らしいコレクションが公開されており、ルーベンス、プリマティッチオ、ティントレットなどの作品もここで鑑賞することができます。
至るところに花柄が多用されており、かつてここが貴婦人たちの居城だったことを感じさせます。
16世紀のようすを再現した厨房には、銅製の調理器具が並べられています。
シュノンソー城のまわりには、ブドウ畑が広がっています。ブドウ畑に花が植えてあることがありますが、これは美しいだけでなく、花の咲き具合によってブドウの健康状態を知ることができるという機能的な役割を果たしています。繊細で環境の変化を敏感に感じ取るため、バラが植えられることが多いそうです。
お城は美しく手入れをされた庭園に囲まれています。なお、ここを造ったのは先ほどお話したアンリ2世の愛妾、ディアーヌ・ド・ポワチエで、彼女の名前を冠して「Jardin de Diane(ディアーヌの庭園)」と呼ばれています。
ご覧のとおり素晴らしい景色なので、時間をとってゆったりと散策してみてくださいね。
庭園に面したレストランでは、お城のような店内で、もしくはテラスで美しい景色を眺めながら、ランチ・ディナーを楽しむことができますよ。
お城と庭園の訪問にかかる時間は2~3時間程度。庭園にある迷路では、お子さんたちも楽しめること間違いなしです。
もし、シュノンソー城への車でのデイトリップをお考えなら、一時間程度の距離にありますので、ぜひシャンボール城も併せて訪問することをおすすめします。
シャンボール城の記事はこちら
文、写真 : Pierre Ieong
訳 : Rei Nishiyama