CHÂTEAU DE CHANTILLY
住所 : Château, 7, Rue du Connétable, 60500 Chantilly
営業時間 :
- 2018年3月24日-2018年10月29日 : 毎日 10:00-18:00 (庭園は20時閉園)
- 2018年11月2日‐2019年3月23日 : 毎日(火曜休) 10:30-17:00 (庭園は18時閉園)
* 2019年1月7-25日は休業
入場料 : 一般価格 17 € / 割引価格 10 € (3-17歳, 学生, 体の不自由な方)
パリからのアクセス :
- パリ北駅(Gare du Nord)からTERでおよそ25分、Chantilly-Gouvieux駅で下車 (www.voyages-sncf.com)
- RERのD線(パリ市内はGare de Lyon, Châtelet-Les Halles, Gare du Nordを通過)でおよそ45分、Chantilly-Gouvieux駅で下車 (www.transilien.com)
公式HP : www.domainedechantilly.com
パリ北部のオワーズ県に位置するシャンティイ城。元は中世の要塞だった建造物に改築を重ねて造られています。現在見ることのできる城の姿は、フランス最後の王ルイ・フィリップ(Louis-Philippe Ier)の息子であるオマール公アンリ・ドルレアン(Henri d’Orléans, duc d’Aumale)の命によって19世紀にフランス革命後の荒廃から再建されたもの。芸術の愛好家で熱心なコレクターでもあったオマール公のおかげで、シャンティイ城は膨大な芸術作品のコレクションを所有しており、絵画や書物、宝飾品など、様々な時代の傑作を見ることができます。
1886年、オマール公はフランス学士院(Institut de France)へ、建築や内装に変更を加えずに一般に公開することを条件として城を遺贈します。この城の発展に貢献したブルボン朝のコンデ公ルイ二世(Louis II de Bourbon-Condé)にちなみ、城は「コンデ美術館(Musée Condé)」と名付けられました。
CHAMBRE DE M. LE PRINCE 王子の寝室
コンデ公の居住スペース(Appartements)への入口であるこちらの部屋では、18世紀の典型的な内装をみることができます。しかし実際には18世紀の状態そのまま、というわけではなく、フランス革命の際の破壊や略奪によって損なわれてしまったものもあります。例えばここにあった天蓋付きのベッドは革命によって永遠に失われてしまいました。
しかし19世紀に入ってオマール公が城の修繕を開始。彼は王室の所有していた芸術作品や家具を可能な限り買い戻し、ブルボン朝の偉大さをここに再現しました。白い壁に金の縁取りは早期のロココ調の典型的な装飾。ジャン・オベール(Jean Aubert)によって1720年に第7代コンデ公(Louis-Henri de Bourbon)のために造られたそうです。
LA GALERIE DES BATAILLES 戦いの間
戦いの間と呼ばれる、コンデ公の居住スペースにおいて一番大きな部屋。11もの大きな絵画が時系列に展示されており、これらの絵画はコンデ公の戦争における勝利を表しています。
LA GRAND SINGERIE 大群猿図室
ここは城の中でもとりわけユニークな部屋。人間のように着飾り立ち振る舞う猿たちが壁に描かれているのを見ることができます。この人間のような猿をモチーフにした絵画は群猿図(Singerie)と呼ばれ、18世紀初頭に多くの画家たちによって描かれていたのだそう。この部屋の絵画は動物画家として名高いクリストフ・ユエ(Christophe Huet)によって1730年に描かれたもので、群猿図の中でも最も有名なもののうちのひとつです。
なお、よく見てみると猿たちが中国風の洋服を着ていることがわかり、ここには当時の中国美術ブーム、シノワズリの高まりを見ることができます。また、隣の部屋にはLa petite Singerie(小群猿図室)があります。
LA GALERIE DE PEINTURE アートギャラリー
コンデ美術館の真ん中、オマール公の素晴らしいコレクションを展示しているギャラリー。オマール公の願いによって、19世紀からギャラリー内の配置などはそのままに保存されています。
およそ85ある絵画はオマール公のセンスによって並べられ、飾られています。中にはかの有名なラファエロやドラクロワの絵画も。15~19世紀の絵画に関しては、フランスでルーブル美術館に次ぐコレクション数を誇るのだそうです。
ギャラリーの終点にはロトンダ(円形の広間)があり、ここでもイタリアのルネサンス期の傑作を鑑賞できます。
LE CABINET DES LIVRES 図書室
芸術作品だけでなく、書籍のコレクションもオマール公の趣味のひとつでした。そのため、コンデ美術館の一角には膨大な量の本を所蔵する図書館があります。オマール公はオークションやヨーロッパ中の書店でこれらの書籍を集めていたのだそう。19,000冊が展示されており、そのうちの1,500点は手書きのもの。分野は多岐にわたりますが、とりわけ中世の書籍を多く扱っています。壁一面にずらりと本が並ぶ光景は圧倒的で、本好きにはたまらない空間です。
LE JARDIN 庭園
シャンティイ城の周りに人がる115ヘクタールの庭園もお見逃しなく。庭園はテーマによって3つに分けられます。一つ目は17世紀にヴェルサイユ宮殿の造園家として知られるアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre)によって造られたフランス式庭園、二つ目は18世紀末に造られた中国式庭園、そして三つ目は19世紀初頭に造られた英国式庭園です。大きな湖や噴水もあり、散策するのもとても楽しい場所。
城の隣には18世紀にジャン・オベールによって建てられたヨーロッパ最大の厩舎(Les Grandes Écuries)があり、大きな競馬場では一年を通して乗馬ショーが開催されています。また、厩舎の中には2013年にオープンした馬博物館もあり、馬と人間の関係の歴史に関する絵画などを展示しているんですよ。興味のある方はこちらも合わせて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
文:Lexi Wang
写真:Lexi Wang & PHAN Thanh Thuy
訳 : Rei Nishiyama