フランスのクリスマス文化

クリスマスを満喫する特別な秘密

フランス流クリスマスの過ごし方

フランスにとって、クリスマスは一大イベント。10月中旬から街全体はお祭りムードに包まれ、この特別なイベントは1月まで続きます。「アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの芸術)」で知られるフランスだからこそ、クリスマスもその伝統を通して人生を楽しむヒントが沢山隠されています。今回は、そんなフランス人たちのクリスマスと新年を迎え方についてご紹介します。典型的な伝統行事から、すぐに真似できる小さな習慣まで見ていきましょう。この冬は日本で過ごすという方も、今年のクリスマスはフランス流に人生を謳歌する特別なクリスマスにしてみてはいかがでしょうか。

 

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クリスマスまで - 10月中旬から12月23日まで

 日本ではクリスマスは恋人と、年末年始は家族や親戚と過ごすのが一般的ですが、フランスではその逆。クリスマスは伝統的に家族と集まり、年越しは友人と過ごす人が大多数。学校もクリスマス前から2週間の冬休みに入ります。職場は大体1週間のバカンスを取るのが一般的。それでは、そんなお祭りムードの準備期間から見ていきましょう。

 

アドベントカレンダー

フランス アドベントカレンダー

クリスマスの日を一番楽しく迎えるには、やっぱりアドベントカレンダーがなくちゃ。これは、イエスの誕生を祝う12月25日までを、一つ一つ小窓を開けてカウントダウンする特別なカレンダー。一般的には24個、もしくは25個の小窓(もしくは引き出し)があり、その中に小さなギフトが隠されています。この習慣はもともと19世紀のドイツで始まり、その後世界中に広まりました。フランスでは早いところだと10月中旬からアドベントカレンダーは店頭に並び始めます。種類はとても豊富で、チョコレート、焼き菓子、ワイン、チーズ、紅茶、ビール、紅茶、コスメ、などなど数え切れないほど。ピエール・エルメやセバスチャン・ゴダールは特に人気のようです。お気に入りを見つけて、クリスマスへ向けてワクワクを高めましょう!

 

クリスマスツリー

クリスマスツリー フランス

クリスマスの主役とも言える、クリスマスツリー。フランスではフェイクではなく、本物のもみの木を毎年新しく飾ります。寒くなると、スーパーや花屋、ホームセンターから新鮮なグリーンの香りが漂ってきます。この時期の風物詩ですね。もみの木を使う由来は、冬でも緑で永遠の命を象徴するからだそう。オーナメントは、モダンなものよりも伝統的なものが人気です。天使、ベル、星、羊飼いの杖、靴下、などなど職人さんが作った飾りは、クリスマスマーケットでも購入できます。今年は家族の健康と平和を祈りながら、「不死の木」を伝統的なスタイルで飾り付けしてみては?

 

サントン人形

サントン人形

クリスマス期間中、教会などでイエスの誕生シーンのディスプレイを見たことがある方も多いはず。フランスではそれのミニチュア版を自宅に飾る風習があります。サントン人形とは、その模型を彩る人形のこと。もともと18世紀にプロヴァンス地方で生まれ、現在ではフランス全土に広まりました。プロヴァンスのカラフルな伝統衣装に身を包んだ人形たちはとってもキュート。クリスマスシーズンに一式飾り付けを終え、24日から25日にかけての深夜にイエス役の赤ちゃんの人形が加えられ、誕生シーンを表現します。その後1月6日には東方三博士の3体の人形が加えられて完成します。1月中旬まで飾るのが一般的です。サントン人形について詳しくは こちらから

 

クリスマスマーケット

マルシェドノエル クリスマスマーケット

この時期のホットなスポットと言えば、クリスマスマーケット(マルシェ・ド・ノエル)。スパイスの効いたホットワイン、熱々のホットチョコレート、とろとろのラクレットに揚げたてチュロス、ここでしか手に入らない伝統工芸のオーナメント。クリスマスマーケットにあるものはどれも魔法のようで、夢の国に来たみたい。フランスでは「クリスマスの首都」とも呼ばれるストラスブールのマーケットが一番人気。他にもリヨンや、パリだとチュイルリー公園やラ・デファンスが有名です。温かな光が灯るクリスマスマーケットで、ゆっくりお散歩を楽しみましょう!

 

クリスマス・イルミネーション

フランス クリスマスイルミネーション

キラキラ輝く街並みも必見です。優しく街を照らすライトアップ、賑やかなショーウインドウ、デパートの巨大なクリスマスツリー。フランスでは一般的に11月中旬からイルミネーションが開始し、1月中旬まで続きます。いつものフランスもいいけれど、この時期の景色はまた格別。フランス人たちもこの時期にはデパートに足を運び、写真撮影やお買い物を楽しんでいます。パリのメインのツリーといえば、やっぱりギャラリー・ラファイエット。毎年違うテーマと圧倒的な美しさは感動モノです。 イルミネーションといえば、パリのシャンゼリゼ通り。2020年は、シャンゼリゼ通りはバーチャルイルミネーションをオンラインで開催します。フランス時間の17時から翌2時まで、毎日こちらから見ることができます。パリの特別なクリスマスの魅力をお家から楽しみましょう!

 

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クリスマス当日 - 12月24日、25日

クリスマス当日まで、賑やかなお祭りムードですが、24日の夕方から雰囲気がガラリと変わります。24日はどのお店も早めに閉店し、みんな家路につきます。そこからは、しずかで厳かなクリスマスのスタート。この2日間に何が起きるのか見ていきましょう。

 

クリスマスプレゼント

クリスマスプレゼント

フランスのクリスマスの一番特徴的なところは、大量のプレゼントの山!フランスではプレゼントを子供だけでなく家族全員に贈ります。プレゼントは、家のクリスマスツリーの足元に置くのが決まり。まず、ツリーの下に家族全員の靴屋スリッパを置きます。そして、プレゼントを受け取る人の靴の隣にプレゼントを置きます。どれが誰のか分かるようにするための伝統です。子どもがいる家庭では、子どもが24日に眠った後にプレゼントを置くそう。翌朝25日にプレゼントを開けます。家族一人一人全員に、感謝の気持ちとともにプレゼントを贈れば、心温まる特別なクリスマスになること間違いなし。

 

クリスマスディナー 

クリスマス フランス文化

クリスマスの食に関する伝統も時代とともに変化しています。最も伝統的なのは、24日の夜は肉なしの「質素な」ディナー、25日には豪華なフルコースというもの。24日の食事は「réveillon(イブ)」と呼ばれ、生牡蠣、エビ、オマールなどが定番メニュー。プロヴァンス地方だと「13のデザート」という、13種類のデザートを食べる習慣もあります。13とはイエスと12の使徒を足した数で、伝統的なオリーブのパンや、ヌガー、カリソン、フルーツなどが並びます。25日のメインはターキーに、付け合せの栗というのがポピュラー。ターキーの代わりにシャポンという脂の乗った鶏肉も最近では人気だそう。アペリティフからゆっくり始まって、最後のデザートまでの満腹コースです。気になるデザートについては下記をチェック!

 

ビュッシュ・ド・ノエル

フランス ブッシュドノエル クリスマスケーキ

さて、お待ちかねのクリスマスケーキは、ビュッシュ・ド・ノエル!「クリスマスの薪」を意味する名前なだけあって、見た目も薪をモチーフにしています。伝統的には、ロールケーキにクリームをコーティングしたケーキのことを指します。実際に、その起源は木の薪でした。中世に12月24日から1月1日まで連続で燃え続ける、大きな薪を暖炉にくべて暖を取る習慣から来ています。 現在は材料もデザインも様々で、ロールケーキではなく、ムースやアイスケーキもあります。各パティスリーのクリエイティビティが光り、毎年の楽しみで家族の会話も弾みます。家族団らんの時間を作るビュッシュ・ド・ノエルは、現代の暖炉の役割なのかもしれません。

 

教会のミサ&コンサート

フランス クリスマス 教会でミサ

フランスのクリスマスでもっとも印象的な瞬間が、各地の教会で行われるミサやコンサート。24日の夜と25日に行われます。スケジュールは教会によって違い、パリの教会についてはこちらからチェックできます。クリスマスのミサは、荘厳で、純粋にただただ感動的。一年に感謝するのにピッタリの機会で、忘れられない体験になること間違いなしです。また、イエスの誕生シーンをボランティアが演じる劇も多くの教会で行われます。Youtuebeで「crèche vivant」で検索すると出てくるのでご興味のある方はぜひ。 現在フランスにいて、クリスマスにミサに参加予定の方は、教会内は寒いことが多いのでブーツや手袋など温かい服装をお忘れなく。教会によって1〜2時間ほどミサが続くので、お手洗いなどは先に済ませておきましょう。

 

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年末年始 - 12月31日から1月6日

静かで厳かなクリスマスのあとは、今度は大晦日がやってきます。クリスマスとは対象的に、こちらはわいわいとした賑やかなイベント。クリスマスのキラキラとしたイルミネーションはそのままに、年越しイベント、そしてクリスマスからの伝統行事が1月6日まで続きます。


大晦日のホームパーティー

フランス 大晦日 何する

大晦日は「Réveillon du Nouvel An」と呼ばれ、こちらもフランス人にとって大切なイベント。大晦日は、一般的にフランス人たちは自宅に友人を招いてホームパーティーを開きます。またまたアペリティフからデザートまでの豪華なコース料理を食べて、シャンパン片手に夜通し踊るのがフランス流の年越し。料理はクリスマスと似たようなメニューです。深夜0時には、「Bonne Année(ハッピー・ニュー・イヤー)」と叫んで、お互いにキスし合います。中には、ヤドリギを家に飾り、その下でキスする映画のような習慣があるお家もあるそう。ヤドリギももみの木と同じく常緑で、永遠の命の象徴。年越しにヤドリギの下で愛する人とキスをすると、幸運が訪れる、または愛で幸せになると言われています。

 

カウントダウンイベント

フランス 年越しイベント

大晦日にはフランス各地でカウントダウンイベントが行われますが、最も有名なのはシャンゼリゼ通りのイベント。毎年通りが歩行者天国となり、通りが人でいっぱいになります。23:20頃から凱旋門に映し出されるプロジェクションマッピングショーがスタート。しっかり見たい方は、開始2時間前には場所をとってスタンバイしておくのがおすすめです。人が多くていい場所を取ったり、トイレに行ったり、帰るのも大変なので参加する場合は注意が必要です。またスリも多発するので持ち物は最小限に。 


1月6日のエピファニー(公現祭)

ガレット・デ・ロワ

公現祭は、イエスが誕生した日に見えた明るい星を追って来た東方三博士が、ベツレヘムに到着した日と言われています。彼らの旅は12日間かかったため、12月25日から12日あとの1月6日に祝われます。先程説明したサントン人形の模型には、この日に東方三博士の3体を追加します。 

この公現祭で一番フランス人が楽しみにしているのが、ガレット・デ・ロワ!ガレット・デ・ロワとは、アーモンドで作ったフランジパーヌというペーストをパイ生地で包んだお菓子で、中にフェーブと呼ばれる小さな人形が隠されています。これを皆で分けて食べるのが、この日のメインイベント。フェーブが当たった人は、紙でできた王冠をかぶり、その日の王または女王となります。その起源は、キリスト教徒は関係なく、歴史はローマ時代まで遡ります。ローマ人は、ケーキに豆を隠してそれをシェアすることで王を決め、冬至の饗宴であるサトゥルリーア祭を祝う風習がありました。ここから派生して現在のガレット・デ・ロワ(王のケーキ)となりました。現在では味、形、フェーブのデザインも様々で、ショップごとに違った魅力を楽しめます。日本でもこの時期になるとガレット・デ・ロワを売っているお店もあるので、ぜひトライしてみてくださいね。

 

O'bon Paris' tip

フランス クリスマス

今年のクリスマスにフランスにいてもいなくても、今回ご紹介したフランスの伝統で、フランスのエスプリを感じることができます。ぜひ、このクリスマスはフランスへの妄想旅行を楽しみましょう!それでは皆様、メリー・クリスマス&良いお年を!Joyeux Noël & Bonne Année!

 


著者 - Yuka

撮影 - O'bon Paris team