Musée Rodin (ロダン美術館)
URL: http://www.musee-rodin.fr/en
住所: 77 rue de Varenne, 75007 Paris, France
メトロ最寄駅: 13番線 Varenne/ 13/8/RER C線番線 Invalides
電話番号: +33 (0)1 44 18 61 10
営業時間: 火曜〜日曜 10:00 – 17:45 ※最終入館時間は17:15までとなります。
夜間営業: 水曜 20: 45 ※最終入館時間は20:15までとなります。
閉館日:月曜日、1/1、5/1、12/25
入館料 (美術館+庭園): 10€(大人)
割引入館料 (美術館+庭園): 7€
※ 18〜25歳以下のEU圏外の居住者
※ 水曜日の18時以降
所用時間: 2.5〜3時間(お庭でのお散歩やカフェでのんびりしたいという方は3時間ほど予定することをオススメします。)
ウディ・アレンの映画「ミッドナイト・イン・パリ」には、ニコラ・サルコジ前大統領の夫人で歌手のカーラ・ブルーニがロダン美術館のガイド役で出演し、ロダンの女性遍歴について話すシーンがあります。
ロダンと子弟関係にあったカミーユ・クローデル。若く美しく才能に溢れるカミーユはロダンにとってまさにミューズだったようです。24歳もの年齢差がありながらも、二人は次第に愛し合うようになります。しかし、ロダンには内縁の妻ローズがいた為、カミーユはやがてロダンの元を去っていきます。
写真左から: カミーユ、ロダン
(画像参照元: http://causes.centerblog.net/288-10-mars-1913-camille-claudel-est-jetee-a-asile)
こうした派手な女性遍歴はフランスを代表する画家のピカソを連想させると思いませんか? 二人は女性遍歴が激しかったという点だけでなく、それぞれ絵画や彫刻の分野での現代美術を開拓したという点、領域に囚われず異なる分野でも頭角を現した芸術家という点、また、非常に多様な作品を残し、社会的にも広く認められた点など多くの共通点があります。
また、自身の名前を冠した美術館がパリにあるのも、もう一つの共通点です。今日は、ロダンの作品を時代ごとに鑑賞することができる”ロダン美術館”を紹介します。
パリの7区アンヴァリッド軍事博物館に隣接するロダン美術館。フランスを代表する彫刻家のオーギュスト・ロダンが晩年を過ごした邸宅のビロン邸。フランス政府によって買い取られる危機が訪れます。その際、この屋敷を気に入っていたロダンが、自己の作品及びコレクションを国家に寄付する代わりに、美術館として残して欲しいと提案したことから、彼の死後にロダン美術館が誕生します。
チケットを買い美術館に入ると、ロダンの作品を年代順で展示しているビロン邸へとつながります。また美術館には3ヘクタールからなる広大な庭も併設しており、パリ有数の美しい庭園の一つとも言われています。
春から夏にかけては、色とりどりの花が咲き乱れます。6月初旬にかけてはバラが咲誇るバラの名所としても知られています。丁寧に手入れされた庭園内には、景観と調和しながらロダンの作品がそこかしこに展示され、まるで野外ミュージアムのようです。邸宅を利用した美術館、ビロン邸の名称にもなっている「ビロン」は、まさにこの美しい庭園を作った庭師の名前だそうです。
取材に伺った日は天気も良く、庭へと向かった私たち。庭に入り、数歩進むと、まず目にするのは、まさにロダンの代表作であり、彼を一躍有名にした作品「考える人」の像。頬杖をついて足の下を眺める彼の顔や体全体に、苦悩と焦燥、痛みが表れています。この作品は、ダンテの神曲に着想を得て制作した装飾美術博物館の門「地獄の門」の頂上にも位置しており、足下に広がる地獄を見て苦悩する人間の姿を表現しているそうです。
「考える人」を間近に鑑賞し、さらに庭園の奥へと足を進めると、同じく地獄の門シリーズの作品の一つ「イブ」が展示されています。はにかむように、恥ずかしそうに、顔を腕で覆っているイブ。実際にこの作品のモデルであった女性は、妊娠の事実を隠して作品制作に協力していたため、日に日に女性の体が変化していくことから、未完成のまま制作が終了したそうです。神との誓いを破り人類の不幸を作り出したイブと、妊娠の事実を隠してモデルとなった女性の悔恨が重なり、見事なまでに人間の”苦悩”が表現されています。
生前から頭角を現していたロダンの下には、政府や文芸家教会など様々なところから制作の依頼がきます。ビロン邸内と同様に、庭園にもヴィクトル・ユーゴーなど、有名な文化人の像が置かれています。
ロダンの代表作の一つでもあるバルザック像も庭園内に展示されています。バルザック像の完成にあたって、ロダンは制作を依頼した文芸家教会と一悶着あったようです。制作を依頼された当時、ロダンはバルザックを研究し、非常にリアルな姿の作品を制作します。しかし、理想的なバルザックの姿を期待していた協会からは、あまりにリアルなバルザック像で期待と違ったと反感を買い、最終的に他の彫刻家に作品の制作を依頼したそうです。屋敷の中の展示室には、熱心に研究したバルザックの制作過程の跡を辿ることもできます。
その他にも、庭園内にはイギリスとの百年戦争の際に犠牲になった6人の英雄を題材にした「カレーの市民」を初め、「地獄の門」、「三人の裸像」といったロダンの有名な作品の数々が展示されています。個々に展示されている「考える人」、「アダム」、「イブ」、「三人の裸像」がまとまった作品「地獄の門」。「地獄の門」を鑑賞する際は、個々の作品を探してみてはいかがでしょうか?
ビロン邸の美術館の中には規模の大きいものから小さいものまでロダンの彫刻、絵画、コレクションが展示されています。 第1-8展示室では、ロダンの彫刻作品を時系列順に、その奥の部屋では、デッサンや写真、第6展示室には、ロダンの弟子であり、恋人であったカミーユ・クローデルの作品も展示されています。ロダンは美術館建設とカミーユの作品を展示することを要求したそうです。
前述のカミーユとロダンの関係は、激しく燃え上がっただけに、最後はあまりにも無情に終わってしまったようです。恋愛においては優柔不断だったロダンは、長い間そばで見守ってくれた内縁の妻であったローズとミューズのような存在のカミーユの二人と長きに渉って関係を続けました。最終的にローズを捨てられずカミーユと別れたロダン。ロダンと別れた後、経済的・精神的に過酷な状況から精神を病んでしまったカミーユ。精神病院に30年もの間収監され、そこで生涯を終えます。かつてロダンにインスピレーションを与えるミューズであり、恋人関係にもあったカミーユの作品もまた、世間から注目を集めていたようです。彼女の作品は、より繊細でどこか官能的な印象を受けます。ドラマチックな生涯を送ったカミーユ・クローデル。彼女の死後、カミーユを題材にした映画が制作されます。1988年に制作された映画ではイザベル・アジャーニが主演を努め、2013年に制作された映画ではジュリエット・ビノシュが主役を引き受けました。
”着物を脱ぐ女性の美しさは、雲を貫く太陽のようだ”との名言を残しているロダンは日本人女性をモデルにも作品を残していたようです。
ビロン邸の奥の展示室には、昭和初期にヨーロッパで活躍した日本人女優兼ダンサーの”花子(本名は太田ひささん)”の肖像が展示されています。
広大な庭の一角にはカフェも併設されており、コーヒーだけでなくサンドイッチやマフィンといった軽食から、ケーキにアイスといったデザート類も充実していました。全面ガラスで装飾されたカフェは、緑に囲まれた庭園とよく調和していました。
取材に伺った日はまだ少し肌寒かったので、店内の席にしましたが、暖かい日にはテラス席に座ってのんびりとアイスを食べながら過ごすのもオススメです。
マキアートとフルーツのタルト。
さくさくとしたした触感の生地をベース、カスタードクリーム、フランボワーズに、キウィ、レーズン、クランベリー何種類ものフルーツが贅沢にもトッピングされたタルトは、フルーツの爽やかな味わいとクリーム、タルト生地の触感が絶妙なバランスです。
美術館の入り口のそばにはミュージアムショップも併設されています。ミュージアムショップには、ロダンの作品をモチーフにしたモダンでスタイリッシュな小物類が揃っているのでパリ旅行のお土産選びにもオススメです。
O’Bon Paris’ NOTE: 美術館で作品を鑑賞後に、庭に併設されたカフェでゆっくりと休憩しながらお散歩をし、最後にミュージアムショップでお土産を選ぶと疲れずに満喫できます。 また、パリのシンボル、エッフェル塔からも近いので、エッフェル塔を観に行く前後の立寄スポットとしてもオススメです。