プロムナード・プランテ、またはCoulée verte René-Dumontと呼ばれるこの庭園は長さ4.5km、高さ10mのパリ都心の中の小さな空の庭です。以前は、バスティーユとポルト・ドレをつなぐ線路として使用されましたが、現在では都市の中で自然に触れられる緑の遊歩道に変貌しています。
長い遊歩道なだけに出入口も多く設置されています。たとえばバスティーユ広場から出発する場合、「Coulée verte René-Dumont」という標識を簡単に見ることができるので、そちらから階段を登っていきましょう。入口近くに「Le viaduc des arts」と書かれた建物が目印になります。
階段を上っていくと美しいグラフィティが私たちを迎えてくれます。幻想的、かつ葉の形や水の流れを連想させるこの絵は自然のダイナミックさと人との寄り添いを感じさせてくれ、この遊歩道のイメージとぴったり。これから始まるお散歩に心を弾ませることができます。
それでは、街の喧騒から離れて都会のオアシスでのリラックスタイムの始まりです。まずはクラシカルな西洋の庭園からスタートします。中央のアーチとその両脇の並木がなんだか風景画の世界に私たちを誘っているよう。窮屈な街中から急に広々とした空が広がり、また暖かな陽の光が心をリフレッシュさせてくれます。
少し先へ進むと、今までとは打って変わってもう少し現代風な庭へ。イギリスのワイルドガーデンのような、はたまた手入れの行き届いた丸いフォームの木は盆栽を思い起こさせるような、様々な文化を織り交ぜたような雰囲気です。草木の緑やオレンジ、そして私たちが訪れた際には幸運なことに春を感じさせる小さな桜のような花が咲いていました。植物の種類も様々で、足を運ぶたびに違った表情を見せてくれるでしょう。
ここではベンチも両脇に設置されているので、腰かけてゆっくりと暖かな日の光を浴びながらお花を楽しむ、パリジャン達も憩いの場所となっています。
少し先へ進むと今度もまた全く違った雰囲気。笹のアーチが私たちを驚かせてくれます。アジアンな雰囲気をも感じるここでは大人も童心に帰ってみんな笑顔がこぼれてしまいます。子供も大人もこのアーチを行ったり来たりとくぐりながら写真を撮ったりしています。長い遊歩道でも、その場所その場所で全く雰囲気が異なり、子供も飽きずに楽しめるアトラクションのようです。道幅も十分あり、エレベーターによる遊歩道への入り口もあるので、ベビーカーを押してのお散歩でも安心です。
この遊歩道は4.5kmと長く続いているので、走るのが日課の方はパリの街の上をランニングするのもおすすめ。朝の静かな雰囲気の中、進むたびに表情を変える木々や草花を楽しんだり、パリの様々な街の風景を高い位置から眺めたりすることもできます。いつものランニングをもう少し贅沢な、より心地よいものへとグレードアップさせてくれるかも。
寒さが緩んだ春には、色とりどりに咲き誇る花々がこの遊歩道にデコレーションを施しとても綺麗です。コーヒーやサンドイッチを持って、道のわきにあるベンチでお花見のようにピクニックを楽しむのもおすすめ。春はお花見、夏は木陰の風で涼み、秋は紅葉、日照時間の少ないパリの冬には太陽を求めて行くも良し。一年中、都会にいながら自然に触れることができます。是非地元パリジャン達と一緒にパリの隠れおすすめスポットで自分だけのオリジナルな旅にしてみてはいかがでしょうか。
著者 : Yuka Ishihara
撮影 : Yuna Lee
住所 : De la rue Édouard-Lartet à la Bastille 75012 Paris
エレベーター : 34 rue de Lyon / rue Jacques-Hillairet.
アクセス : メトロ 1、5、8番線 Bastille駅 / 8番線 Ledru-Rollin駅
営業時間 : 月-日 8:00- 冬は17:30まで / 夏は21:30まで (週末は9:00からオープン)
料金 : 無料