パリでは、春巻きやフォーなどのベトナム料理を簡単に見つけることができます。しかし、体の芯からほっこり落ち着く本格的なベトナム料理が味わえるのはほんの一握りのお店だけ。この記事では、パリで絶対行きたいおすすめベトナム料理レストランをお教えします。
東南アジアの農業と暑く雨の多い気候は、ベトナム料理で使用される食材のベースとなっています。そして、この地の歴史からくる異文化とのミックスは、料理の多様性を生み出しました。
味の調和が大切なベトナム料理は、繊細で甘酸っぱく、少し辛く、さっぱりとした味わいが特徴的。
揚げ物やグリル料理には、新鮮なレタス、ミント、レモングラス、バジル、その他の野菜やハーブを添えて、脂っこさとさっぱり感のバランスをとります。したがって、ベトナム料理は、色や味だけでなく、食べる人への思いやりをこめた繊細な職人技によって、多種多様でやさしい味わいとなっているのです。
サン・ルイ島にあるHA NOI 1988の店内はお洒落でありながら古き良き趣のある空間。1980年代風のインテリアが広がり、ドアを通り抜けるだけでなんだかタイムスリップしてきたかのよう。ベトナムの側壁にあるスナックやおもちゃは、本場ベトナムの食料品店に似ているのだそう。
ハノイは首都であり、国の北部にあります。ゆったりとした落ち着いたスタイルの旧市街は、ダイナミックでオープンな南国の若い都市ホーチミン市とは異なります。同じベトナム料理とはいえ、北から南まで料理の味付けは大きく違います。同じ料理の フォーやネムは、人々は異なる方法で作り、食べます。一般的に、北部ではフォーはさっぱりとしたスープで、食べる前にスライスした唐辛子またはチリソースとライムを絞り入れます。
一方、南部のフォーは甘みがあり、新鮮なハーブ、豆もやし、大豆を発酵させた黒ソースを加えます。
そして、ハノイのフォーはまた一味違います。必要なのは、麺、肉、スライスしたタマネギを入れたスープ、ネギを用意したボウルだけです。ハノイスタイルのフォーのボウルには、クエイ(小麦粉で作られた棒状の細長くて甘くないドーナツ) とチュン チャン(フォーのスープにポーチドエッグを入れたもの)が添えられます。ボウルにクエイを浸し、麺、肉、スープの順に一口ずつ食べていきます。
HA NOI 1988 Sao vang では、HA NOIの本物のフォーと本場のトッピングとともに、食べることができます。また、肉のトッピングもおすすめです。
このレストランは、毎日自家製麺を作っていて、パリで最もおいしいフォーの一つと言っては過言ではないはず。スープは 24時間かけて調理され、旨味が利いたやさしい味わい。これは、Hoa hồi vàng と呼ばれる、ベトナムで最高のフォー作りシェフを選ぶコンテストの勝者だからこそできる職人技。
それでは、このレストランでぜひともトライしたいおすすめメニューをご紹介していきます。
春巻きはボリュームがあり、食べごたえがあります。ドラゴンフルーツで作ったバラのライスペーパーに自家製のフォー麺と肉、新鮮な野菜をバランスよく盛り付けた一品。フルーツを思わせる秘伝の甘めのタレにつけて食べると、すべてがマッチします。
パリでphở bò sốt vangを出しているお店はごくわずか。角切りビーフをワインとスパイスでじっくりと煮込み、24時間かけて出汁をとることで、コクのある味わいと柔らかな食感になっています。ここの麺の美味しさの秘密は、自家製の新鮮だから。運が良ければ、ほうれん草を使ったグリーンビーフンも食べられます。この繊細でありながらしっかりとした風味のある味わいは、一度味わったら虜になること間違いなし。
熱々のフライパンに秘伝のタレを敷き、卵、パテ、薄切りのグリルビーフ、ポークをスライスしたバゲットと一緒に盛り付けます。
アツアツのフライパンでテーブルに運ばれていきます。余熱で徐々に調理され、最後まで温かく食べられるのがありがたい。余熱でどんどん熱が入るので、柔らかめがお好みの方は早めに取り皿にあげましょう。バゲットを卵の黄身にディップし、お好みのトッピングを加えて、パックっとほおばります。
ベトナムでは、鶏のフォーと牛のフォーはスープが違うので、同じお店で食べることはできません。パリでは、多くのベトナム料理店で2つの異なるスープを用意することはできず、チキンフォーとビーフフォーは同じスープで提供されるお店がほとんど。しかし、このお店では、鶏のフォーのためだけに、鶏の骨から別のスープを作っています。牛も鶏も、両方の本格的なフォーが味わえるのは嬉しいポイント。
料理だけでなく、デザートとベトナムの有名なコーヒーも美味しいのでお見逃しなく！
レストランHa Noi 1988とHa Noi 1988 Sao Vangのシェフは同じですが、Ha Noi 1988 Sao Vangは特に私たちのお気に入りで、スープと自家製麺のオリジナルの味とさまざまな料理があっておすすめです。
著者: Yuka
撮影: PHAN Thanh Thuy
住所: 16 - 18 Rue le Regrattier, 75004 Paris
アクセス: メトロ7番線, Pont Marie駅 / 1番線, Saint Paul駅
営業時間: 月 - 金 12:00 - 15:00, 19:00 - 23:00 / 土-日 12:00 - 23:00